NO.003 Naoki Ishikawa & JAKAM talk about Memories..

Apr 07, 2010

Naoki Ishikawa & JAKAM talk about Memories..

MOOCHY(以下M): 今回この写真はハワイの?

石川(以下 石): ハワイ島にあるナビゲーションポイントという場所で、 航海者たちが長い航海の前に祈りを捧げる所。で、この石が 星や島の配置になっていて。

M: スターナビゲーションと関係ある?

石: 関係あります。この遺跡は、学者が見ても、なにを意味しているのか わからなかったんですけど、ミクロネシアの航海師のマウ・ピアイルグという おじいさんがここに立った時に、それぞれの石がどこの島を意味しているとか、 星との関係などをすぐに言い当てられることができた。 現代の研究者ではまったくわからなかったんだけど。

M: 実際これは行って撮ってるんですよね? 雑誌や本で読んだのだと、 石川くんは例のホクレア号に乗ってるじゃないですか。 それはここから乗ったわけではないんですか?

石: ここは岩山の高いところにあるんで、ここからは乗らないです。 クルーはみんなわざわざこの場所に来てお祈りするんですよ。

M: 昔はどうだったんですか?

石: 古くからここで祈りが捧げられていたみたいだけど、 詳しい年代まではわかりません。

M: けど、そこから航海が進んだっていうわけではない。

石: この下は断崖になっていて、船に乗れるような岸辺ではないんですよね。 あくまで、瞑想したり祈ったりする場所というか。 夜空を眺めながらここで昔は星に関する授業をしたりだとか、 航海の前に祈りを捧げるとか、とにかく旅立ちの前に立ち寄る場所ですよね。

M : 今のこのチャントは僕がハワイで録音した人たちで、 「ナラニ」っていう有名な人らしいんだけど。今僕は福岡に住んでいて、 たまたまニューヨークの友達が、日本人なんだけど、 九州に興味があるっていっていて、その彼もニューヨークで レコード屋をやっていて、僕もレコードが好きだったりとかで、 その彼が福岡に着いてすぐ中古レコード屋に行って、 そこでレコード掘ってたら、フラのチャントのレコードがあって、 ブックレット付きでそういうフラのハナ・フエとかひょうたんのやつとか いろいろ図解付きでレコードになってる。それを800円くらいで買えたんです。 そのちょうど3週間後とか1カ月くらい後に、ハワイのオアフ島でDJ誘われてて。

石: 生まれは東京なんですか?

M: 新宿です。中野とか高円寺で育って。2003年までいました。 ちなみに2001年の 9.11 の後に、和プロジェクトっていうのをやったんです。 僕自身ワールドトレードセンタ−に登ったことがあったりとか、 ちなみにそのフラのレコードを福岡で一緒に買った友達と登ったんですけど。 僕自体、旅行としてモロッコに行ったりしてて、 ムスリムの国って行かれたことあります?

石: 中東を長く旅したことがありますよ。

M: イスラム世界って、それはそれで美しいじゃないですか。

石 うん。美しいですよね。

M: そういうーーーーー静かに祈りを捧げてる。謙虚というか。 僕もモロッコで砂漠を横断する時にバスが縁故したりつぶれることも 想像しうるというか自分が生かされてる事を意識する事でアラーの神を 感じたっていうか、。 そういう状況で昔のキャラバンは死を覚悟して砂漠を横断していただろうし、 それが絶対的に見えない覚悟で。彼らの謙虚な心というか、 そういうものって美しいなと。

石: いろいろ旅行もしてきたんですね。

M: いちおう、最初の海外旅行ハワイだったんだけど。 いわゆる白人の太ったおばさんがビキニ着て、夜中は銃声が聞こえるような。

石: 銃声が聞こえるんですか、ハワイで?

M: その当時は。無知だったのかも知れないけど。僕のイメージっていうのは、 一回目のハワイの時、ポリネシアとかそういうものはまったく感じられないもので。

石: そうですよね。リゾートやショッピングとかそういうイメージが強いから。

M:  でもまぁ、ワイキキだったから。イメージは正直悪かったんですけど。 さっきの和プロジェクトで絡みがあったサンディさんと代々木公園で 7000人くらいパレードして、結果的には平和イベントみたいな感じに なっちゃんたんだけど、僕自体はもうちょっと憂国というか、 平和って概念もすごい微妙な感じだったし、政治経済的なことも含めて……。 結果的には見かけは平和イベントになったんですけど。 それが悪いとも思わないんだけどね。

石: それはいつあったんですか?

M: 2001年。

石: そんな前なんだ。

M:  9.11の後、いろいろみんなで話し合って、スペースシャワーとか いろんなメディアも絡めて。12月24日に原爆が落ちた広島でイベントをやろうってなって。 それを軸に代々木でパレードしたりして。サンディさんと出会うことになって。 サンディさんからハワイのフラの意識の話を聞いて。僕が知ってるハワイじゃない。 アメリカじゃないハワイを初めて察知して。それからずっとチャントには 興味があったんだけど。

石: それはサンディさんが歌ったチャントだったんですか?

M: そうですね。あの人たちのチャントもよかったけど、 サンディさんが語ってくれた、夜中に海の中へみんなで入っていって、 明け方までそこで浸かりながら日の出が来るまで祈りを捧げるっていう。 シネマティックな、映像が目に浮かぶような話で。

石: 2度目のハワイで深いところに行っちゃったわけですね。

M:  そう(笑)。DJでオアフで誘われて、それもまぁ、 いろんなつてで誘われたんですけど、お守りとして買ったレコードを 持ってったんですよ。レコードバッグに入れて。 で、知り合いもほとんどいないまま、ハワイ島にひとりで行って。 で、いちおう福岡出身の女の人で、 コーディネイターをやってる人を紹介されて、その人にまず会ったんですね。

M: 僕は3日間しかハワイ島に滞在する期間がなくて。 コーディネイターのカオリさんには、 3日間でそんな上手くいくわけないっじゃないって 言われましたけど。基本的に僕が今ずっといろんなことやっているのって、 直感で絶対いけるっていう信念があるというか。いちおうメイクはしてきたから、 漠然とした自信みたいなのはあって。 結果的に紹介された2人のフラのチャントのひとりが、 レコードの人だったんですよ。

石: え、すごいですね。

M: その人が録音してくれて。

石: なかなかない偶然というか。

M: 僕は3日間しかいなかったんですけど、僕なりにフラの勉強は日本でも ちょっとして、ハワイに行っても火山行ったり海行ったり、 聖地に行ったり一人で車で行ったりして。その内で、 ここだけは時間がなくて行けなかったってところだったんですよ。すごくくやしくて。

石: ここはでも、あんまり知られてないところなんですよ。

M:  ハワイのスピリチュアルスポットっていう情報として知ってたんですけど。 ここは行きたかったんですよね。すごく気になってて、それでまたDJで 東京〜福岡みたいな行き来してて、石川くんの写真を見てここだと思って。 そういえば石川直樹ってどこかで聞いたことあるなと思って。 読んでて、ホクレア号のこととかも書いてあって、僕もちょっとは知ってて。 この人はすごいなって興味を持ったし、僕が今やってる音楽ともすごく関係してるし、 同じ日本人として現場につっこんで何かを感じてきた。 特に「すべての装備を知恵に置き換えること」(晶文社刊)を読ませてもらって、 そこにもスターナビゲーションのことが書いてあって。 ひとり気が狂ってっていう話とか、ほんとに人間の正気というか正常な意識って… すごく…

石: 紙一重ですよね。

M: そう。そいうことも、僕もなんとなくいろんな場面で思うことがあって。 すごいリアリティというか。ホクレア号のこととかも、人間の能力の限界というか。

石: 実際にカヌーは見たんですか?

M: そう。で、それが僕福岡に住んでて、福岡で新聞読んでたら。

石: 家で?

M: そう(笑)。福岡の西日本新聞に「ホクレア号が今日福岡に来てる」って。 じゃあ、行くしかないって家族つれて昼間行って。

石: どこに就いたんですか?

M: マリノアパークっていうところで。クルー(乗組員)が3人くらいはいたんで、 ちょっと話したりして。やっぱり予想通り肝っ玉がすわってる。

石: ナイノアはそのときにきてました?

M: たぶんあの人はいなかったと。

石: あ、そうだ、いなかったんだ、福岡の時はこなかったみたいですね。

M: いちおうポリネシア系の人たちもちょっといた?

石: いちおう、っていうか、乗ってるのはほとんどポリネシアの人たちですね。

M: 見かけは浅黒くなかったような……

石: いや、浅黒いですよ。

M: ホクレア号は想像でしかないけど、あそこに乗って。

石: これで来たんだと思うとちょっと違いますよね。

M: ね。あれは本当に本ではーーーーーーどういういきさつで?

石: ナイノア・トンプソンの師匠でもあるマウ・ピアイルグっていう おじいさんがいて、その人がミクロネシアに住んでいるんですけど、 そのおじいさんに弟子入りして、星の航海術を学んだんです。 その流れでハワイにナイノアがいるというのを知って、 ハワイにおしかけていったんです。もう10年以上前のことですよ。 現地でイエローページかなんか電話帳で調べて、電話したら「来い来い」って 言われて、家に行って会って。その後、トレーニングの航海があるから乗らないかって 言われて乗ったっていう。

M: でもほんと、自分から乗らせてくれって。

石: 乗らせてくれっていうか、まぁ流れでそうなっちゃったっていうか。

M: 乗りたかったわけではなかった?

石: もちろん乗ってはみたかったですけど、まさかそんなに簡単に 乗せてくれるとは思ってなかったから。

M: 自分がやりたいと思ったこととか、今まで山登りにしても気球にしても。 気球はなんか大変だったらしいけど。

石: そうそう。大変でした。2008年11月末に気球遠征に関する本が出ます。 『最後の冒険家』(集英社)っていう。

M: 基本的に自分でメイクするっていうかね。そういう自分の中で、 例えば僕も富士山だけは登ったことがあって。

石: 頂上まで?

M:  そう。でもDJで静岡に行って知り合った人間が間接的に友達で、 そいつもスノーボードとかスケートボードやってて、気が合って。 「おれ清水市に住んでて魚釣りやってるから、釣ったやつ食わせるから飲もうよ」 ってなって。それで12〜13時間飲み続けて。ほんとに意気投合して、 富士山登るしかねぇだろってなって。それでその間接的な友達を電話で呼んで、 その友達が急遽川崎から静岡まできて、じゃ3人で登ろうって。

石: 夏ですか?

M: そう7月…。

石: あぁ、よかった(笑)。

M: でもスケジュール的に、昼から登って夕焼け拝んで、 夜帰って来るっていうパターンしかできなくて、ほんと遭難しかけて。

石: でもそれでよく頂上まで。

M: ギリギリ。夕焼けは見れて。

石: 日帰りだったんだ。一泊しなかったんだ。

M: しなかった。

石: それ夜大変じゃないですか。帰り真っ暗になっちゃうでしょ。

M: そう、誰もいなくて。しかも迷って。

石: へー。よくちゃんと降りられましたね(笑)。

M: 食べ物もないし。遭難する人たちの気持ちがちょっとだけわかった。

石: どうやって降りられたの? どうにか歩き続けた感じ?

M: 直感というか。

石: タクシー呼んだりして?

M: いや、歩いて。

石: えー、それはすごいですね。

M: 車でいける5合目までね。山登りってピークがわかりやすくあるから、 そこを中心に上がって下がってがあって。誰でも言うかも知れないけど、 下がるほうが危険っていうか。

石: そうそう。やっぱ頂上登るまでは気が張りつめてるからね。 登った後はもう気がゆるんじゃってるから、途中で休んじゃったり、 道もわからなくなっちゃったりして。

M: 自分が山登りたいって、こないだ電話した時に登ってたのって、 全部トータルで楽しんでるっていうか。

石: ただただ景色が変わっていって、体の反応も変わっていって、 で、また降りていって下界に戻るっていう、その過程や時間が面白いというか、 そういう感覚がありますね。

M: 自転車で旅したりとか、北極から南極まで行ったりとか、 別に山だけに限らず過酷なミッションが好きなの?

石: 特にそういうわけでも・・・・。

M: そういうわけでもない?

石: なんだろう。自分の体を全部使って、動いたり移動したりするのが 好きなんです。だから、人力の移動手段を使って、自転車とか、歩きとか、 カヌーとか。自分の体を使って世界を歩いていきたいっていう気持ちがあって、 今までもずっとそういう風にやってきたんです。

M: 本を読んだら、最初インドに高校2年の時に行って、明らかに何かが 変わったって書いてあったけど。

石: んー、まあそうですね。

M: 僕もインドは一回、マナリってところにDJでいって。 それもトレッキングした後にDJさせられて。

石: マナリって、だってヒマラヤのかなり高所じゃないですか。

M: みんなぜーぜーいってて。

石: DJっていうのは野外で?

M: 野外で。ロバみたいなのに機材乗せて。

石: これは何の音ですか?(アルバムMemoriesを聴きながら)

M: これはベトナム。ホーチミン。インドは、ベリーとバラナシとマナリしか 行ったことがないんだけど。

石: それはどんな感じで話がくるんですか?

M: イベントというか、パーティをオーガナイズしてる人が、昔インドに 6〜7年住んでたらしくて、その人はいわゆるヒンドゥーと英語とフランス語が 話せる人で、こっちで知り合ったその人もフランス人でインドに 移住したっていう親友がいて。インドだとホメオパシーっていうこととかを 研究していて、音楽が好きな人で、その人が若者をインドに連れてきたいこととか。 僕はそこまでなんでそういうことをやっているのか正直聞いたことはないんだけど、 でもたぶんインドのカルチャー、世界の中でも面白い国だから。

石: いろんなところからDJの依頼がきて、それで各国に?

M: そうですね。各国っていっても、ハワイ、アメリカ、 ヨーロッパ、オーストラリア。

石: このベトナムは?

M:  ベトナムはもう、キューバに行ったのがこういう録音の初めで、 僕のバンドでパーカッションやってるメンバーが、キューバはやっぱり パーカッション強烈だから修行しに行ってて、あそこはスペイン語だったりするから、 僕らからしたら行きづらい場所だったんだけど、友達がいるし、 情報いろいろ聞いてたし。キューバの音楽はすごく高度で、 それこそ人間のできる限界を感じるというか。サルサって音楽って、 白人のクラシックの要素やアフリカのパーカッシヴな要素だったり、 あとインディオたちのマラカスとか、クロスオーバーした音っていうか、 今の地球上での音楽っていうので、僕はたまにくだらないかもしれないけど、 もし自分がUFOなりなんなりで、地球ってものを探索して、 いろんなキリンやらゾウやら牛やらアメーバやらなんかいろんなものを この地球上にみつけて、人間ってこいつらのさばってるなって。 いろいろな人間を見ていって、その人間たちが、戦争してたり いろんな情景があるじゃないですか。僕がもしそういう立場だとしたら、 でかいコンサートで音楽ってことだけでワーキャーってやってるよりも、 みんながそれぞれの中で楽しんで、一方向のアイドルっていうんじゃなくて、 もっと漠然とした音楽っていう中でダンスしていたいっていうか。 キューバで、路上でほんと貧乏人の部落のやつが店の中に入れなくて、 店から聞こえる音で踊っていたりとか。すごく若い15、6の男と女が すごく真剣に踊ってて。彼らにとってはたぶんセックスするよりも、 そこで遠心力を使ってダンスすることがエクスタシーで、 それを見てすごく美しいなと思って。

石: キューバってそんななんだ。

M:  みんなほんとに金ない金ないって言ってるし。社会主義だったりするから。

要は金持ちになれないっていうとこだから。でも反対に、 死なないっていうか。絶対配給されるから。余談なんだけど、 僕が音楽に惹かれる理由っていうのは、こんなに人類は余計なことばっかりして くだらないことばっかりしてるけど、そうやって踊ってる人を見てると、 蝶や鳥のように生命体として美しいなと感じられたら。 それは世界中にずっとあるじゃないですか、ハワイでもアイヌだろうが アフリカだろうが、そういう男と女っていう陰陽なものから生命が生まれて、 ま、余談なんですけど、キューバに良さを見いだしてる。 やっぱり社会主義って面白い。

石: でも、だから音楽が好きっていうのはすごく説得力がある。

M: ベトナムに行った理由っていうのが、僕自体が学校が元々右翼系の 学校だったのから、戦争に負けていきなり左翼系になったところだった。 日の丸も君が代も無しで。修学旅行で沖縄行って、ひめゆりの塔とか 日本軍がやった今話題になってる事を見させられて。 日本軍が沖縄の人たちに自決しろっていってたこと。 それを中学ぐらいに教えられて。軍国主義っていうか国粋主義っていうか、 そういうことの愚かさを教えられた。左よりな発想ってのが自分の中でも 核になってるし、自分にとってこの国を愛せなかった10代っていうのがあって、 それが子供ができたりして、やっぱり国としてっていうよりも 文化として大事にしたいとは思うんだけど。

石: 「国」としてじゃなくて「文化」としてという感覚は、なんとなくわかります。

M: キューバ行って、社会主義って、北朝鮮とか、あといくつか あると思うんだけど。

石: アフリカも多いし。

M:  アジアってことで言えば、ベトナムっていわゆるベトナム戦争があって。 音楽としては正直レコード一枚しか持ってなくて、あんまり情報がなかった。 でも、直感的に絶対面白い国だと思ってたし。 自分の中でアジア人っていうのがあるから。 日本人かどうかは別として。そこでベトナムっていうのもーーーーーー 知り合いも全くいないんだけど行ってみようって行って、 この会話(アリバムMemoriesの中の会話)とかも3人で一緒に行って、 こういうハードディスクみたいなのを一人に持たせて、 イヤホン型のマイクを耳につけてそれがそのまま録音されるんですけど。 僕昔モロッコで、フナ広場ってとこに行った時に、 こうやってマイク持ってフィールドレコーディングしてたら、 グナワって民族音楽をそこでやっていて、こうやって録って歩いてたら、 30mくらい先から「おまえマイクで録ってるだろ、金よこせ」って言われて。 盗み録りしてるつもりはなかったし、公園の雑踏を録りたかったんだけど、 そいつらだけを録りたかったわけじゃなかったのにそういうこと言われて、 盗聴みたいでやだなと思って。それだったらもうちょっと ミュージシャンと話して、一緒にやろうっていう方がいいし。 そいういのもあって、ベトナムとかキューバも話して、聴かせて、 これで何かできないかってやったんだけど。 ベトナムも知り合いいなかったんだけど、どんどん人から人へ。

石: キューバからベトナムにつながるってとこが面白いですよね。

一見すると関係ないじゃないですか、単にどっちも社会主義ってだけで。 そうやってつながってくんですね。

M: ハワイは、DJで誘われたっていうのもあるんだけど。

石: 10曲入ってるけど、ほとんど別々のいろんな国とかですか?

M: そうですね。関わってて。ジャマイカもあるし。ジャマイカも知り合いは いなかったけど、人から人へ。ジャマイカのミュージシャンとベトナムの ミュージシャンが一緒になってるっていうのもあるし。 その場では一緒でなくても。

石: これは?

M:  キューバのミュージシャン。そうやって旅して、ただいい景色見たとか、 それだけではあまりにもったいないというか。伝えたい部分というか。 僕も石川くんがやってることとか、この前の壁画の写真集 『NEWDIMENSION』(赤々舎)も見て、 トークショーで対談してた伊藤先生もそうだけど、 絵を描いてる人と石川くんの行動をたぶんダブらせてた部分が あるんじゃないかと感じてて。

石: うーん。

M: なんでそこまでするのか。石川くん自体がなんでそこまでするのかっていう。 そこまでエグイことというか辛いことというか。 でも何か伝えたいからそうやって写真撮ってるのか、とか。

石: 音楽も、僕の写真の撮り方もおんなじような気がする。 ベトナム行ってキューバ行って、音録ってくるわけですよね。 俺から見たら過剰な行為で。

M: 過剰な行為(笑)。

石: だからそういう部分にはシンパシーを感じますけどね。 たぶん俺の壁画とか北極の写真とかも、人から見たらなんでそこまで行くのって 感じかもしれない。

M:  僕は自分のことは一番評価しづらいからあれだけど、 石川くんがやってることとか、ぶっちゃけなんでそこまでするのかとか、 それを見ることで誰がおなか一杯になるのかっていうわけじゃないですか。 でも、明らかにそれに興味持つ人はいて、そこにシンパシーを感じるし、 無駄なことっていうのが、それがイコール、アートだとかどうとかっていうのに 結びつけられるかどうかはわからないけど、彼らの壁画もね、 僕もあれを見てすごく考えさせられたし。なんでそこまで…。

石: あんな奥地まで。すごく高い、手の届かないところにも描かれていて。 なんでそこに、みたいな。まぁ、一見すると無駄かもしれないし、 過剰なことかもしれない。でも、そんなことに実はすごく意味があるような気がして。

M: あの話の中で、ある意味そこまでしなかったら残らなかった。 記録として。記憶として。

石: そうかもしれない。

M:  みんな絵は描けたかも知れないけど。そこに誰も行かないところに描いたから、 またそれが何千年たっても保存されるっていうのはあるよね。 例えばブレードランナーって映画わかります?あれでレプリカカントの 最後まで生き残るやつが、死ぬまぎわに「おまえらにはわからないだろう。 お前ら人間じゃいられない宇宙の果てで星が爆発する、その輝きを」 っていうのがあって。ちなみにインドのパーティーを企画していた人はそのシーンが すごく好きだって言っていたんです。アートって言葉は表現とかっていうので、 誰でもどんな人でも美しいとは言えるけど、より美しいとか すごく美しいっていう表現があるとしたら、絶対それって過剰なものというか。 やっぱりアートっていうのは、もしそうやっていいアートっていうんだったら、 人が見てないものと、過去の状況を見てきたものを伝えるというか。 例えば、コンタクトっていう映画って、最後にジョディフォスターが 「あの美しさを伝えるのは私を連れてくよりも詩人を連れていけばよかった」 って言ってて、すごく面白いなと。美しいものを表現するのって、 ただ美しいっていうだけじゃないから。いろんな言い回しで想像力が掻き立てられる。

石: それが詩人の役割でもありますよね。アナロジーによる世界の構築。

M:  それに、そういう何かを見てしまった人、感じてしまった人。 人よりも奥に行ったり、それがすごい景色だったり。 それを誰かに伝えたいっていうのがあって初めて表現が生まれて。 石川くんがやってることはアートーーーーー過酷なところを伝えてくれてる。 だって行かなかったら、誰も見れないじゃないですか。 ミュージシャンもある領域まですごく過酷な練習をして、 その中でしか得られない演奏というか。今だと楽にいろんな楽器が、 いろんな国のが金払えばいくらでもやれるけど、遠くまできて、 辛いとこまで行って見て来たっていうのが。自分のことは置いておいても。

石: そういう意味では似てるっていえば似てますよね。

やっぱり自分の目で実際に見たいと思って旅してるしね。 自分の耳で聴かないとわからないだろうし。それで音を録ってきて、 アレンジを加えて、作品として受け取れるっていうのは、 幸せなことだなって思いますけどね。

M: そうやって今やってきて、加工するじゃないですか。 石川くんも写真集作るとか、文章書くとか。そうすることで、 明らかに自分の意思が加わるじゃない。世界をどうしたいか、 世の中にどう思われたいか。それってどういう風に思ってる?

石: そこが表現に繋がってきちゃうんでしょうね。でも本当は僕は 世界そのものを伝えたくて、自分が見ていいと思ったそのままを伝えたいんだけど、 やっぱりどうしても主観が入ってくる。写真集だったらページの編み方だったり 順番だったりセレクトだったり。そこにはどうしても自分の意識が投影されちゃうんで、 悩まされます。そこをどうすればいいのかっていうのはいつも考えてますね。 やっぱり音楽もそうだと思うんだけど、 そのままを伝えられるわけじゃないじゃないですか。 やっぱり自分の意思が加わってくる。その辺はどういう風に考えてるんですか?

M: 僕自身、子供ができたことで、意識的にすごく変わったっていうか 奥に進んだ感じがあって、未来ってことに対して、 どうやって人類が生き延びていくかっていう。 僕は石川くんがやってることって人間の能力の限界っていうのも テーマのひとつに入るんじゃないかなと思ってて、 もっと人間は能力があるはずだし、ホクレア号とか、 ーー視力や聴力や五感っていうのもフルで使ってるし。 あまりにも今の世の中っていうのは、 五感をないがしろにしてるっていうのがあって。 ほんと原始時代みたいな縄文時代とか興味があるタイプだから。 ここまでシステマティックになる前の。

石: もっと直感的に生きていた時代。

M: メルヘンじゃないけど、タロットとか占いにしても、 能力というかサイキックな力ってことで、オカルトじゃなくて。

石: 占いというのは実はすごく歴史が長いからね。

M: 最初の書物がタロットだっていう話だし、なにか霊感っていう インスピレーションをもとに、最大限活かすっていうのは、 旅の中ですごく重要なことなんじゃないかと思う。

石: そうですね。偶然はすごく大事にしたいですね。占いも予期できない偶然を どうやって予想していくかっていうところと深く関わってくると思う。 日常の出会いもそう。自分は撮影に際しても出会いとか偶然をすごく大切にしてる。 変に作り込んだりしないで、その場の反応に身をまかせて、 流れながら作品を作っていきたいっていう。だから今の占いの話とかも興味がある。

M: タロット占い師の友達がいて、その人と一緒にバンドをやったりして、 非ミュージシャンというか。ある意味。だからこそわかることがあって。 音楽って別にミュージシャンだけがやるべきことじゃないというか。 練習してればいいかってことでもない。それこそ直感能力で、 今これを叩けばいい、鍵盤を弾けばいいっていう。

石: 写真と同じだ。

M 余談だけど、石川くんともセッションしてみたいなとか。 僕がやりたいことって、クオリティが高い人とやりたいと思うけど、 もしかしたらそれ以上に何か未知なことというか。

石: ビジュアルでいつかコラボレーションしたいですね。俺が写真で。

M: 昨日ビデオ買ったんだ。パナソニックのDV。 映画を撮りたいっていうのが前からあって。

石: 例えばベトナムで音録ってるって聞いて、俺ずっと想像してたんですよ。 どういう風に音録ってるのかなとか、街の雑踏は今はどういう感じなのかなって。 それを映像でも撮ってたら面白いね。

M:  俳優とか含めて、現地で知り合ったムードがあるやつに頼んだりとかして。 フィクションとノンフィクションが入り乱れるというか。 作品ってすべてノンフィクションですってものでも、 絶対フィクションだから。かといって、僕は抽象芸術っていうのは やっぱりいいなと思うのは、具体的に言わないから想像力というか、 詩の話と一緒だけど、沸き立てさせられて、その場にいるような感じが得られる、 それがリアリティってことだから。

石: 抽象でも具象でも、基本的には一緒だと思う。 本物を描いている人はどんな手法でも結局作品はリアリティをもつわけで。

M:  作品っていうのもね、結局オブジェになるってところから作品になるわけで、 観念だけだったら作品とは言われないし、それを具現化する。 ストーリーも含めて、僕ら自体が現状でストーリーの中にいるわけだから、 で、またストーリーの中にストーリーを作ってるってだけの話だから。

石: ずっと続いて行く。

M: うん。いろいろ映像は僕も撮りたいと思ってて。 さっきの人間の限界も含めて訴えていくべき話っていうか。

石: 一緒に北極とか行ったらどう?

M: (笑)。こんなエキスパートと?

石: 地面の氷が徐々に割れていく音なんかは感動するよ。

M: 面白いね。でも北極と南極見て、僕は観念でしかないけど、 北極って、存在しないじゃないですか。

石: 結局は海の上に浮かんでいる氷。

M: 氷だから。南極は存在するでしょ。僕、NXS っていうバンドっていうか プロジェクトをやってて。北極と南極ってNとS、それ自体が極。

石: 北極を歩いていて、ここが北緯何度ってGPSの数値がでても、 10分じっとしてたらその数値が動いてくるわけですよ。常に氷が動いてるから。 それはすごい変な感覚。

M: やっぱり北極より南極の方が落ち着く?

石: いやそんなことはなくて、落ち着くかどうかってことよりは、 南極の方が単に歩きやすい。北極は常に揺られている感じもあって、 どこで氷が割れるかもわかんないから、ちょっと不安。 でもそれはあくまで極点に近い場所の話で、 街がある場所はたいてい島とかの陸の上だからね。

M: どちらが怖いっていうと北極?

石: そうですね。北極はクマもいるし。南極はペンギンくらいしかいないから。

M: 北極グマって襲ってきたりする?

石: 食糧がないときは、やっぱすごく鼻がいいから人間の匂いを感じて 寄ってくるんですよ。別に人間を食べるために寄って来てるんじゃないですけど、 「なにがいるのかな」って好奇心で寄ってくる。

M: 遭遇はしたの?

石: 何度も。そうすると、ライフルを持ってる時は、 空にバーンって打ってクマを驚かせてわざと逃がしたりとか。 結構近くまできたときもありました。

M: 月並みな質問だけど、いちばん辛かった場所って?

石: エベレストの頂上間近も辛かったし、いろいろキツイところはありすぎて。北極もきつかったですけどね。

M: POLE TO POLEの本(『この地球を受け継ぐ者へ』(講談社))を読んでると、南極には達成したから、恍惚とした感覚を文章から感じたけど。

石: 最初の北極はまだチームにも環境にも慣れていなかったから、 もう淡々と記録として書いてた。北極はでも村があって、 人が住んでるっていうのが面白いですけどね。 人が住んでる場所っていうのはやっぱり島になってたりして、 安全な場所にある。浮かんでる氷と陸地の境がなくなっているから、 一見すると北極はすべて白い氷に覆われてるようにも見えるけど、 村がある場所は島だったりする。

M: 今話題の温暖化っていうのは。

石: 砂州や島の岸近くに家を建てている人は、海面の上昇による高波で 土地が崩れちゃったりってことは多々ある。

M:  僕、科学者とか医療とか含めて、全面信用できないってところがあって、 科学者っていうのもスポンサーがいて、何かの題材を研究してるじゃないですか。 今ゴアがああいうことを言い出したことっていうのは、ホントかウソかっていうよりか、 そういう風に地球のことをケアするっていう感覚はすごくいいと思う。 でもまた、ゴアに対して批判も多い。温暖化なんてないっていう。 でもそれって石川くんはいろいろ見てきてどう思う?

石: 地球が温暖化しているのは事実だと思う。昔よりは確実に。 でもそれがいいとか悪いとかって以上に、もっと人は地球のことを 考えてもいいですよね。温暖化の影響で被害を被っている北極の 小さな村や太平洋の島をシンボルみたいにして、 それをことさら取りあげてエコだなんだってお祭り騒ぎにしている 先進国のやり方は、ちょっとどうなのかなとは思いますけど。

M: 極地に行ったからわかる今の地球の変化っていうのはわかる。

石: 昔はよかったっていうノスタルジアからは何も生まれないと思ってる。 だって歴史を見ればわかるけど、何かが消えてなくなれば、 また何かが生まれるっていう繰り返しでしょ。だから「自然を大切に」 なんて直接的に言う気にはならないけど、ただ北極で親しくなった おじいちゃんやおばあちゃんが苦しんでるのを見たら、 やっぱりいろいろなことを考えてしまう。なんかこう言葉だけで 「地球を大切に」とか、「エコロジーがどうの」っていうのを声高に 言っても説得力がないから、やっぱり自分とのつながりの中で湧き出た感情を 大切にしてそういうことを言いたいよね。なんかいいことそうだから、 アピールしてみるみたいなノリにはついていけないけど。

M: 石川くんは世界のあちこちにいってるから、 わりとエコ系の雑誌に関わることも多そうじゃない?

石: 北極の写真集『POLAR』(リトルモア)を出したから、 エコ系?のメディアから取材を受けたりするんですけど、 別に温暖化問題を世に問うために写真集を出したわけではなくて、 ただ北極が好きで10年間毎年のように通っていて、写真もいっぱいとって、 そして過渡期にある北極圏の姿を見てもらいたいと写真集を出したのに、 みんなやっぱり温暖化とか、そういう絡みで見る人も多いかもしれない。

M: でも実際、自分が今伝えたいことっていうか、 伝えたい人ってどういう人なのかっていうのはある程度あるの?

石: いや、伝えたいことなんて別にないですよ。 俺が「いいぞ」って思ったことを、誰かが見てくれて反応してくれたら すごく嬉しいっていうくらいで。もちろん同世代にも見てもらいたいし、 年配の人にも見てもらいたいし、世界中の人にも見てもらいたいし、 老若男女問わず、自分のものに反応してくれる人がいたら嬉しいですよね。

M: 自分と同世代と一緒に旅したりはする?

石: POLE TO POLEプロジェクトをやった時は若い世代の8人で 旅したけど、あんまり一緒に行くって感じじゃないですね。 北極とかは特にね。みんな一人一人がんばって歩いてた。

M: もしかしたらほんとに……。

石: 北極はいいですよ。普通に行けますから。

M: 実際北極ってどうやっていくんですか?

石: いろんな場所から行けて、シベリアもあれば、アラスカもあれば、 グリーンランドもある。グリーンランドはデンマークから行くし、 スヴァルバール島はノルウェーから。一口に”北極”って言っても国じゃないし、 いろんな国にまたがって存在してるから。カナダにも北極圏はあるし。

M: いちばん行きやすいのは?

石: 一番近いのは、アラスカのアンカレッジから北に飛んで、 ノームっていう小さい村につく。あとはバンクーバーまで行って、 イエローナイフ方面に飛んだりとか。

M: いろんなところから行けるんだ。

石: そう、いろんなとこから行ける。

M: やっぱりーーーーヨーロッパの辺りとか。

石: 機会があったら、どっか一緒に行けたらいいですね。山登りでも。

M: 実際具体的に北極って言ったら、どこから行くのが一番おすすめなの?

石: それぞれおすすめで、お金があるんだったら、デンマークの コペンハーゲンからグリーンランドに行くのが一番いい。 グリーンランドは北極のエッセンスが詰まってる感じ。 毛皮の服を着て、アザラシ穫りにいく人もまだいるし、犬ぞりもある。 お金を安く抑えるんだったら、カナダ・アラスカの方が近いから。 アンカレッジからセスナで小さい村へ。

M: 大体いくらくらいかかるの?

石 一番安い時期だったら、いくらくらいかな飛行機代だけで17〜8万くらいかな。

M: 犬ぞりとかは……?

石: 知り合いがいたら、一緒に。知り合いがいなかったら、ツアーに参加しちゃうとかね。

M: 大体どのくらいの日数かけるの?

石: 北極は一週間だとあっという間だから、最低二週間とかはほしい。

M: 泊まるのはテント?

石: いやテントじゃないですよ。村だったら宿がある。でも、 郊外に出るんだったらテントかな。

M: 北極っていうだだっ広いエリアの中で、極点を目指すわけでしょ?

石: いや、極点はそれこそ陸地ではないから、極点目指して歩くのはすごく大変で、 モノ好きな遠征隊とかが行くくらい。沿岸に小さな村がたくさんあるから、 村に滞在して文化とか環境を体で感じるのがいいんじゃないかな。

M: 北極点っていうのはないの?

石 あるけど、海の上だから。今北極点に着いたと思っても、 乗っている氷が流されて、すぐに場所が動いちゃう。

M: 南極みたいにポールは立ってないの?

石 立ってない。それこそ、氷がなければ単なる海の上だからね。 まあ潜水艦を使えば行けるんだけど。スキーで行ったりして一瞬極点に 着いたはいいけど、10分後には自分が乗ってる氷が移動してるっていう感じ。

M: すごいほんと象徴的な。

石: 実体がない。でも極点っていう。

M: 実際象徴的、地球がそういう状態っていうのはね。

石: NXS でネクサスって面白いですね。

M: 入りますか(笑)?

石: (笑)。バンドなんですよね?

M: バンドみたいな。バンドっていうのも、環境音とか全部含めて。 全部そうじゃないですか。存在そのものが。連鎖っていう意味なんですけどね。 NEXUSって。英語で。

石: そんな英語があるんですか。

M:  JUZUっていうのも、連鎖っていうか。仏教的には繋がりとか。 そういう意味で、さっきの縁を、僕も一期一会と諸行無常が僕の中ではテーマで、 出会いが一瞬であるっていうのはすごく重要なことだし。 でも全てに終わりがある。だからこそ、大事にしなきゃいけないっていう。 だから、連鎖していろんなものが繋がっていって、流れ流れて自分がそこにいて。

石: 「MEMORIES」って要するに、記憶ってことですよね。

M:  記憶。僕の中では、もう一つ「MOVEMENT」っていうのを出そうと思って。 音楽ってレコードに収められた時点で、記録じゃないですか。でも、 DJとしてはテクノみたいなものって、使ってなんぼみたいな。 かけてみんなで踊ったり騒いだり。ツールとしても音楽ってあって。 30年代40年代のモノラルで録られたレコーディングされた、 文化人類学的にも貴重なものっていう。

石: アーカイブとしても。

M: そう。

石: こういうチャントだって、アーカイブとして後々重要になってくる。

M:  それと、またムーブメントっていう、僕らが現代に生きてて今この瞬間に 作用する効果があるものっていうのも、今自分の中では2つテーマがあるなと思ってて。 これはほんとにいい意味でアーカイブ的なものも含まれてる。 自分の中で、日本のミュージシャンの仲間ともすごいオープンに関わってるし。 自分の思い入れっていうのも含まれて。最後のピアノの曲は、 彼が俺の曲だけど録音しとけよって、別れ際に録って。

石: この「RE-MOMENTOS」っていうのは、シリーズ?

M:  そうですね。この前に、キューバで録音して、 アルバム作るつもりじゃなかったんだけど、キューバ行ったら すごくいろんな録音ができて。ほんとに世界って音楽でいれれるんだって。 僕らは日本人同士、日本語で話せてるから、ここまでいろんな話ができるけど、 バベルじゃないけど、言葉があまりにも人種によって変えられてるから、 喋れないじゃない。でも、喋れなくても、ここに音楽があったりとか、 絵でもそうかも知れないけど、媒介があって初めて人って一緒にいれるんだと思うから。 そういう意味でもいい体験で、そこにインスパイアされて、 ベトナムも妙に自信つけて行っちゃったんだけど。 「MOMENTOS」って瞬間っていう意味で。

石: スペイン語?

M: そう。でも「RE」っていうのは英語だから造語になるんだけど。 英語中心の社会っていうのに常々疑問を持ってたから。 結果的にここまで進んじゃってると、英語で話す方が南米でも楽じゃないですか。 やっぱりそういう意味でしょうがないんだけど。僕、スペインとか ブラジル行ったことがあるけど、南米はスパニッシュが多いから、 ーーーーーーすごい面白いなと思って。

石: じゃあ「MOMENTOS」はほとんどキューバで。

M: 今度渡せたら。ここは出会いで、REっていうのは、メールで返信するっていう。

石: そういうことか。 自分でパブリシティもやるんですか?

M: そう。基本的には。自分で全部作って。でも石川くんも自分ででしょ?

石: そうですね。イベントなんかは出版社がいろいろやってくれたりとかするけれど。

M:  アイデア出して。おもしろがってくれたらって感じだね。 もしかしたら意外とみんな繋がるから。そういう僕ら世代のムーブメントっていうのも、 もっと面白くできないかなって。世の中で売れてるものとか。 僕ら世代って第二次ベビーブームぐらいの世代で。 ポールトゥポールの人たちとは今どんな感じ?

石: メールではやりとりしてるけど、今はほとんど密な繋がりはなくて。 でもいつか再会したいですけどね。

M: それは同世代?

石: ほぼ同世代。

M: そういう人たちは世界中に、サイボーグ009みたいに(笑)

石: ちらばってるみたいな。

M: 思い続けることって念力だから。

石: やっぱりちゃんと口に出したり、思い続けてると実現しますよね。

M:  僕は正直、10年くらい音楽やってて、音楽やってる人って音楽のことだけしか 考えなかったりする人が多くて、もうちょっと今後どうしたいっていう ビジョンがあった上で、音楽は具体的な手段として使えると。 だから石川くんの存在っていうのは、すごく紹介したいし、過酷な状況で、 安易に作れるものじゃないから、リスク背負ってやったことだから面白いし。

石: 俺もいろいろ機会があったら紹介します。

M: 楽器はやってないの?

石: やってないですね。昔はハーモニカを川下りながらやってたりしたけど、 上達せずに終わった。音痴だし(笑)。

M: 一人になった時とかには。

石: 歌ったりしてる。ほんと一人だったら大声で歌ったりとかしてる。 カヌーで川下りしてたら川辺で歌ったり。楽器もやってるんですか?

M: いや僕も上手くはないんだけど、触るのは好きだから。

石: 上手そうだな。

M: 上手い下手って人によって違うじゃない。赤ちゃんから見たら上手いって見えるだろうし。

石: 北極の町にもクラブがあって。

M: それはクラブ?ディスコみたいな?

石: ありますよ。ヤバい感じの。

M: 踊ってるみたいな。

石: エスキモーミュージックみたいなのが混ざってたり。

M: それはどういうの?

石: 皮の太鼓を叩いて、足を踏みならすみたいな。 ネイティブアメリカンっぽいんだけど、もうちょっと違うみたいな。

M 聴いてみたい!

続く。。

 

石川直樹プロフィール

1977年東京都生まれ。写真家。2000年、Pole to Poleプロジェクトに参加して 北極から南極を人力踏破、2001年、七大陸最高峰登頂を達成。人類学、民俗学などの 領域に関心をもち、行為の経験としての移動、旅などをテーマに作品を 発表し続けている。写真集&個展『THE VOID』により、 さがみはら写真新人奨励賞、三木淳賞受賞。先史時代の壁画を めぐる旅をまとめた『NEW DIMENSION』(赤々舎)、北極圏をテーマにした『POLAR』(リトルモア)の2冊により、日本写真協会新人賞、 講談社出版文化賞を受賞。著書に『いま生きているという冒険』(理論社)、 『全ての装備を知恵に置き換えること(晶文社)、 『大地という名の食卓』(数研出版)、 『この地球を受け継ぐ者へ』(講談社)。 東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。 多摩美術大学芸術人類学研究所研究員。2008年12月初旬、 新作写真集を二冊同時刊行予定(詳細は以下)。

写真展「Mt.FUJI」(銀座ニコンサロン・11月26日〜12月9日)

http://www.nikon-image.com/jpn/activity/salon/exhibition/2008/11_ginza-2.htm

写真集「Mt.FUJI」(リトルモア)12月上旬発売予定 http://www.littlemore.co.jp/

写真展「VERNACULAR」(新宿プレイスM/12月1日〜7日) http://www.placem.com/

写真集「VERNACULAR」(赤々舎)12月上旬発売予定 http://www.akaaka.com/

Text Edited by Eri Ishida

Recorded by Genta Minowa aka GNT

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