NO.008 Juzu a.k.a. Moochy meets Joe Claussell 2007

Apr 07, 2010

Juzu a.k.a. Moochy meets Joe Claussell 2007

 

出会い

 

J: もともと親交のあったKuniyukiがリミックスをしたのがきっかけで、NXSの音源を聴いてすごく好きになった。

 

M: Kuniyukiさんが、NXSのリミックスをJoeに送って、それを聴いたJoeがオリジナルの曲に興味持ってくれて、。直接初めて会ったのは、<Precious Hall>の10周年パーティーのとき。

 

J: そう。僕がダンサーとして遊びに行ったときだね(笑)。DJとしてではなく、客として行ったんだ。素晴らしい体験だったよ。お客として行ったのは初めてだったけど、その日のDJはみんな最高に美しいプレイをしていた。

 

M: 僕がそのときにJoeをすごくリスペクトしたのは、その夜にTha Blue Herbがライブをして、そのステージを組むのを手伝っていたんですよ。それを見て、この人は同じパーティー・ピープルだと思った(笑)。

 

J: ああ(笑)。僕が名前の知れているDJであることは関係ない。音楽を愛するコミュニティの一員であることは同じだから。僕を見に来てくれる人がいるように、僕も見に行きたい人がいるし、出来ることならその手伝いもしたい。あの夜は、みんながお互いを助け合って、素晴らしいパーティーにしようとしていた。美しい体験だったよ。

 

M: ナイス・パーティーだったよね。

 

J: ああ、僕もほぼ一晩中踊ってしまったよ(笑)。

 

M: みんながラブとリスペクトを持っていて……<Precious Hall>はJoeも好きな場所でしょう?

 

J: うん!(即答)それで、話を戻すと、僕はあまりにもNXSの音楽が気に入ったので、自分のレーベルからリリースすることにしたんだ。

 

Moochyのどんなところがいいと思ったのか?

 

J: 僕にとっては、音楽そのもの以上に、そのコンセプトが重要なんだ。そして僕は、彼(ら)のコンセプトに感銘を受けた。音楽のプレゼンテーションの仕方にだ。僕は、アートと音楽は切り離せないものだと思う。だから何かメッセージを伝えたい場合は、音楽という言語だけでなく、イメージも使った方がより明確に伝わる。NXSはその両方がとてもパワフルだと感じた。

 

J: みんなJoe Claussellと言えばハウスの人だと思っているだろうけど、実は僕はハウスと同じかそれ以上にオルタナティブ・ミュージックが好きなんだ。だから、 Moochyの音楽を聴いたときには、すぐに彼にもオルタナティブな側面があることが分かった。僕もずっとオルタナティブ・ミュージックを聴いて育って来たし……というよりも、僕が最初に好きなった音楽はロックだったんだよ。Led Zeppelinや、Black Sabathだ。

 

M: え?Black Sabath!?わはは!僕もBlack Sabathのファースト・アルバムはすごい好き。

 

J: 僕がBlack Sabathで一番好きなのは『Paranoid』だね!

 

M: よりメタル寄りだね(笑)。

 

J: これが、僕の音楽への入口だったんだ。家ではあらゆる音楽が流れていたけど、僕の兄の一人が熱烈なロックファンで、その兄の影響で聴き始めたんだ。だから、Moochyとの共通項はすぐに見出せたよ。だから僕のオルタナティブなレーベル、<natural Resource>からリリースしたいと思った。

 

M: 僕はハードコア・パンクとか、ヒップホップとか、政治的・社会的メッセージがあるっていうか、意識の高い音楽が好きで、そういうものとダンス・ミュージックって無関係な気がしていたんだけど、ジャングルとかレイヴ・カルチャーとか、一見エクスタシーとかドラッグ・カルチャーに見えるかもしれないけど、ある意味反社会的な側面もあって、原始的な部分もあったりとか。「コンクリート・ジャングル」で生まれ育った僕みたいな人間は、そういう音のジャングルに憧れてたっていうか、もっと原始的な、違う世界に行きたかった。それで、僕は音楽は何でも隔たりなく聴いていたから、その過程でJoeのレコードも普通に買ってた。単純にパーカッシヴで、僕のイメージしていた「Jungle」に近かったからかもしれない。でも、本当にJoeをリスペクトするようになったのは実際に会ってから。だから、あの<Precious Hall>のロゴはよく出来ているよね(笑)。

 

<中断>

 

近いリリースの話

 

J: 『Mental Remedy』アルバムと『Translate 2』がどんな内容になるかという話 +短編映画が付く

M: 僕も今度11月にまたアルバムを2枚出すんですけど、今回CDになっているものは、ハワイ、ベトナム、キューバ、日本の奄美大島とか、そういう色んな民俗音楽の要素をぶつけ合わせているんだけど、発想としては、どんな場所でもどんな時代でもある共通項みたいなものを繋ぎ合わせることで、時代を越えていくという部分をテーマにしていながら、今、2007年の最新のやり方でやれることをやろうと思った。僕らはそういう話を今までしたことはなかったけど、多分 Mental Remedyのコンセプトも近いと思う。彼はチベットとか、インカとか、僕とはまた違った文化を取り入れていて。そういう部分にもシンパシーを感じる。

 

J: それは多分、『Cosmic Ritual』の方だね。『Cosmic Ritual』は、僕が世界中を旅して作った、宗教と音楽をテーマとした記録なんだ。そして君の言う通り、そのコネクションを浮き彫りにしたかった。みんな信仰の対象は違うけれど、実は同じものなんだということ、違いはその方法だけだ。祭式や儀式が異なるというだけだと思う。『Cosmic Ritual』はそういったことをテーマにしている。それに対して『Mental Remedy』は、コンセプトというよりは音楽表現の可能性を広げるためにやっているプロジェクトなんだ。

 

なぜ二人とも大都市の先進的な社会で生活をしていながら、古代文明や異文化に興味を持つのか

 

J: 僕はあらゆる文化に興味があるんだ。僕の場合は、様々な文化のことを学ぶことで、より自分に対する理解も深まるんだ。なぜなら、僕たちはこの地球上でどんな風に生きていようと、同じ全体の一部(a part of one)であることに変わりはないからだ。そして、少なくとも僕は「人類」に対する理解を深めることは重要だと思っている。僕はまず、自分にどんな兄弟や姉妹がいるのかを学ばなければ自分自身のこと、自分がどこから来たのかを知ることが出来ないと思う。

 

M: 僕が思うのは、Joeもレコード・コレクターで、レコードというのはそれ自体がライブラリー(図書館/資料室)だから、僕たちはそれを通して文化や人類についてたくさんのことを学んでいる。民俗音楽に惹かれると、例えば僕の場合バリの音楽を聴いて、音楽からその文化に興味を持って、知っていくから、きっかけとしてレコードがすごく重要なんだよね。彼もレコードのバイヤーだったこともあるから、レコードから学んでいることが多いと思うし、異文化に繋がっていくんだと思う。

 

M: 僕はLarry Levanが死んだとき、多分14歳か15歳だったと思うからもちろん実際のプレイは聴いたことがないんだけど、後になって雑誌で読んだのは、彼は雷の音とかをかけていたんでしょ?僕にとってはハウス・ミュージックって、その自由さ、何をやってもいいっていうところが魅力なんだよね。

 

J: 理解してもらいたいのは、僕にとっての音楽とは、目に見えるもの以上にずっと大きなものなんだ。(雑誌を見ながら)ここに載っているのは、単なる音楽に関する記録だ。僕にとっての音楽は…… 宗教と言っていい。それくらいパワフルなものだ。こうやって説明するのも難しいくらい、大きなものだ。僕が今日本にいるのも音楽のおかげだ。音楽によって繋がることができたから。もし僕がニューヨークで音楽とは無縁の生活をしていたら、きっとアメリカが思う日本像しか知らなかっただろう。戦争に関する認識も違っていただろう。ヒロシマへの原爆投下がいかに不当であったかということも、実際に日本を訪れて日本の文化に触れることがなければ分からなかっただろう。音楽を通じて、たくさんの人と繋がれたおかげで、この国の文化がどれほど美しいものであるかを知ることが出来た。全て音楽のおかげなんだよ。

 

M: さっきのラリー・レヴァンの話の続きなんだけど……Joeが働いていたレコード屋って何だっけ?

 

J: Dance Tracksだよ。もともと僕の店だったんだ。

 

M: 当時はどんなレコードを売ってたの?
J: 最初はディープ・ハウスのレコード屋として始まったんだけど、それ以外にも僕が思う「コズミック・ミュージック」は何でも売っていたよ。僕がいいと思った音楽は何でも売っていた。なぜなら、僕にとって音楽はあらゆる場所にあって、全ての音楽が大事だからだ。それをお客さんに提供したかった。

 

M: どんなところに遊びに行ってたの?

 

J: 当時?本当に終わりの頃だけだけど<Paradise Garage>に行ったり、<The Loft>、他にも色んなクラブに行ったし、ダンス・クラブだけじゃなくて、色んなコンサートにも行っていたよ。The Cureを見に行ったりとかさ(笑)。The Clash、Johnny RottenとSex Pistolsとか…… クラブと同じくらい、そういうライブにも行っていた。昔から、色んな音楽にインスパイアされたし、ものすごく多様性のある環境で育ったからさ。かつてはスキンヘッズだったんだよ。ニューヨークのスキンヘッズってどんなのか分かるかな?僕はメロウな方のスキンヘッズだったけど(笑)。頭を坊主にして、ドクター・マーチンを履いて、CBGB’sに通ってた(笑)。友達もみんなスキンヘッズだったよ。

 

M: へぇ〜!!スキンヘッズって、UKだとスカとか聴くんじゃないの?

 

J: スカも聴いてたよ。ただし、暴力的なスキンヘッズというのもいて、それとは全く種類が違った。いかにもニューヨークのイースト・ヴィレッジっぽい、ダウンタウンの文化さ。

 

M: 一般的なJoeのイメージって、もっとアフリカンな感じだよね(笑)。

 

J: 一般的なJoe Claussellのイメージはそうだろうね!でも、実際に僕が育って来たのはそういう環境じゃない。僕は祖先と音楽からアフリカの影響を受けているけど、僕はそれ以外の音楽も常に作って来たから。オルタナティブな音楽もね。

 

M: ニューヨークで以前会って話したときに、やっぱりアフリカがルーツだっていう話をしていたんだけど、それを意識し出したのはいつだったの?

 

J: 常にだよ。なぜなら家ではFania RecordsやTito PuenteやFelaなどが、他の音楽と同じように流れていたから。僕たちはそこから来ているからだよ。母もアフロ・キューバン音楽などを好んで聴いていたしね。そして幸運なことに、僕は大家族でそれぞれに違う音楽を聴いていた兄たちがいたから、色んな音楽に触れられた。その中でも一番いいオーディオ・システムを持っていた兄が、ロック好きだったんだ(笑)。だから、家で一番大きな音で鳴っていたのがロックだったんだよ!Jimi Hendrixなどがガンガン流れていた。

 

M: ははは。でも、音楽がすごい好きっていうのがよく伝わってくるから、そういうところがシンパシーを感じるというか、話していても楽しい。

 

J: 音楽を愛しているよ。どれくらい好きかは、自分でも説明ができないくらいだ。それを説明しようとしたらものすごく長いストーリーになると思うよ。繰り返しになるけど、物理的な音楽というもの自体よりも、そのエネルギーの力強さに魅了されているんだ。宇宙が果てしないように、音楽の持つエネルギーも果てがない。一頃で説明できるものではないね。

(「ちょっと待ってて」とJoe席を立ち、部屋からドクター・マーチンのブーツを持って戻って来る)

 

J: これが伝統的なスキンヘッズ・カラーなんだよ(持って来た赤茶色?のブーツを指す)。この色をニューヨークで探すのはすごく難しい。イースト・ヴィレッジに行けば、まだスキンヘッズはいるけど、ほとんどの人は黒を履く。この色のブーツはなかなかない!だから、日本で買った。自分の分を一足持っておきたかったんだ(笑)。今はもうスキンヘッズの仲間とつるんだりはしていないけど、1年に一度同窓会があるんだよ(笑)。スキンヘッズ同窓会(笑)。

普段あなたがやっているスピリチュアルな音楽と、スキンズの価値観は相反するところがあるのでは?

 

J: 確かに整合性はない(笑)。だけど世界は広くて、人間には様々な側面がある。だから僕は、<Paradise Garage>にLarry Levanを聴きに行く夜もあれば、<Mad Club>に行ってオルタナティブな音楽を聴く夜もあって、僕はそのどちらも好きなんだ。共通項があるとすれば、それは「僕」ということになるけど、端から見ればそれは整合性のない取り合わせかもしれない。

 

M: 僕もデス・メタルも好きだけど、ボサノバも好き(笑)。恐らくJoeの地元の友達にも、パンクスがいたり、ギャングがいたり、色んな仲間がいるんだと思うよ。僕もそうだから。Snoop Doggy Dogが好きな友達もいれば、Steve Reichが好きな奴もいたり。

 

J: オープンマインドであるっていうことだよね。色んなものを聴いて来たからこそ、色んな人の色んな音楽が理解できるし。MoochyのNXSに共感できたのもそういうことだ。Joe Claussellがスキンヘッズだったってことに驚く人もいるだろうけど、それも僕の一部分なんだ。例えば、僕の働いていたレコード屋、<Dance Tracks>は、ニューヨークで最初にミニマル・テクノを置いた店でもある。その当時、他の店には一切置いてなかったけど、僕はJeff MillsやKenny Larkin、Carl Craigなどを売っていた。僕はロックを聴いていたから、そういう音楽の良さもすぐに分かった。僕は色んなもののコンピネーションで出来ているんだ。人というのはみんなそうだと思う。お互いに一面的なイメージだけで認識してしまいがちだが、誰だって家に帰れば違う顔を持っているし、どんな音楽を聴いているかも分からない。メディアに出るのはほんのその一面にすぎないよ。

 

M: 今後、「未来」についてはどんなことを考えてるのか話してみたいんだけど。

 

J: 僕は何に関しても、それは自分の人生に関してもすごくオープンな見方をしているんだ。自然に任せる。未来に関してはとても楽観的な見方をしているけれど、同時にその不確実性(不確定要素)も受け入れている。ただ僕が毎日やれることと言えば、1秒1秒を天からの贈り物だと思って大事にすること。だって、1時間後も僕がこの地球上に存在している確証はないんだから。意味分かるかな?だから、その時その時にやっていることにちゃんと集中して、そこから学べることを学ぶ。そして、未来に訪れるかもしれない様々な機会に備えるんだ。何が出来るかは予想ができない。自分がやりたいと思うことはたくさんあるよ。僕の最大のゴールは、映画と映画のサウンドトラックを作ることかな。そして、出来ればDJは減らして行きたい。

 

M: それはよく分かる気がする。

 

J: 例えば、僕は将来Moochyと一緒に何かするなんて思っても見なかった訳だよ。でも、未来がその機会を与えてくれた。それが「贈り物」という意味だよ。だから、これからもそういう風であって欲しいと思うんだ。もっと出会いがあって、もっとたくさんのリスペクトする人たちとコラボレーションして行きたいと思う。

 

M: バンドやってみたいとか思わない?(笑)

 

J: ああ。僕はすでにバンドを持っているよ。Mental Remedyのライブはバンドでやる予定だから、今練習しているところ。

 

M: 僕はNXSっていうバンドで、8人くらいでやっていたんだけど、それだけの人数がいるとコントロールしていくのが難しくて…… フェラ・クティなんてすごいと思うね(笑)。

 

J: ははは。そうだね。

 

M: 現代社会では、みんなどんどん人とのコミュニケーションが苦手になってきていて、音楽も一人で作れてしまう。

 

J: そうだね。音楽を聴く方だって、自分のコンピューターを通して買って、何もかもコンピューターで完結してしまう。僕はテクノロジーの素晴らしさは認めるけれど、その影響で人間はみんな孤立して行ってる。みんなで集まって何かするよりも、その方が「便利」だからだ。Moochyの言わんとしていることはよく分かるよ。だからこそミュージシャン同士のコラボレーション、あるいはこの対談にしたってそうだけど、人と人が直接交流するということが、いかに素晴らしいか、ということなんだ。非常に重要なことだと思う。僕たちの生活には、明らかにそれが不足しているからね。もっとそういう機会を作って行くべきだと思う。だからMental Remedyにしてもそうなんだ。単に人に聴かせるためではなく、その重要性を人に見てもらいたいし、僕自身にとっても大事なことなんだ。

 

M: 集団的瞑想、だね。

 

J: そうだ。

 

M: 最近の若い人は、他の人と何かを一緒にすることが苦手になっていると言われているけど、僕自身もバンドをやるよりも一人の方がやりやすく感じてしまっているところがあって。やっぱり相手を信じる事、信頼関係を築くことが最も重要になってくるよね。

 

J: そうだね、信じること。そして、自分の気持ちに素直に従うこと。それが何よりも大事なことだと思う。物怖じせず、自分を外に表現していくことだ。みんながそうすれば、もっと色んな事が、より面白くなると思う。でも、テクノロジーのおかげで、人はその影に隠れやすくなってしまったと思うんだよね。インターネットを見れば、みんなネガティブなことやセクシャルなことを語るとき偽名を使う。マスクを被っているみたいにね。彼らは自己表現したいのに、自分自身のままではそれが出来ない。テクノロジーがその手助けをしている状態だ。でも、僕らはもっと人々に自分をさらけ出すように促して行くべきだと思うんだ。僕はその方が、世の中がより良くなると思う。コミュニケーションを活性化していくべきなんだ。その一つの手段が、音楽なんだ。

 

M: 僕もJoeと同じように、自分の中の小宇宙というのとは別に、今の社会に音楽を通してもっと広い世界を紹介していきたいと思う。僕らが都会で生まれて、音楽を通して様々な世界があることを知ったように、同じ事をもっと多くの人に恩返しというか、還元して行けたらなと思う。それは僕のパーソナルな目的だけど、やっぱりさっき言っていたように、音楽っていうのは人と一緒に演奏したり、共有することが重要だと思う。それは「未来」でもあり、実はすごく原始的なことだったりもする。

 

J: うん、分かる。

 

M: 今回、僕のNXSのメンバー、パーカッショニストがキューバに滞在していたからキューバに行って、向こうのサンテリアの音を採取して作った曲を、Joeに渡してリミックスしてもらったわけだけど、それも直接ではないけど同じ音のソースを共有したコラボレーションだよね。そうやって僕らの世界も広がって行く。音源をシェアしていくことって、今の世の中で交流していく一つの方法だと思う。
J: ああ。それも大事な事だよね。だからMoochyからリミックスを依頼されたときは、僕も嬉しかったんだ。だってよく考えたら、日本のMoochyがキューバに行って録って来たものを、ニューヨークの僕がリミックスするんだから、壮大なコラボレーションじゃないか。そのエネルギーはとてもパワフルだ。音楽だけじゃなく、人と人との交流という点でも、お互いをリスペクトし合って一緒に何かするということ、その素晴らしいエネルギーはお金で買えるものじゃない。

 

M: うん、僕も「気合い」を感じましたよ!すごいミスティカルというか……ちょうどJoeがCDを送って来てくれて、それを聴き終えた1分後くらいにJoeから「聴いた?」って電話がかかってきた!

 

J: ははは。不思議だね。でも僕は、音楽に携わるときは常にベストを尽くす事にしている。それは関わるアーティストに対するリスペクトだけでなく、音楽に対するリスペクトがあるからだ。ときにはそのプレッシャーで眠れなくなることもあるんだ。どうすれば、ベストなものを作れるか考えているとね。

 

M: リミックスなのに10人もミュージシャンを使ってやってくれたってことに驚いたし、勉強になった。リミックスにそういう風に取り組む人もいるのかと思って。

 

M: これスリランカなんだけど(アナログ盤のジャケ)…… なんかダンスミュージックってハッピーであることも重要だけど、もっと重いテーマも扱っていけると思うんだよね。日本のねぶた祭も、前に話したかもしれないけど戦争をテーマにした祭りだったりもするし。商業化されていく中で薄れて行ってるけど、もともとはそういうシビアな背景がある。なんかそういうことに対する考え方が、ジョーとは近い気がして。

 

J: うん、そう思うね。僕に関して言えば、僕は自分の知っていることしか表現しない。誰かが書いていたことや言っていたことを鵜呑みにしない。読んだり聞いたりした上で、自分で考えて判断する。僕に言わせれば、イラク戦争だって、誰も「9・11とサダム・フセインにどんな関連性があるんだ?」って疑問を持って考えなかったからこうなってしまったんだ。新聞に書かれていることや政治家が言うことを鵜呑みにしてしまったからさ。だから、個人個人が自分の判断力を持つことが大事だと思う。

 

M: この(アナログ盤の)ジャケットについてはどう思う?実は送るのに躊躇したんだけど(笑)。ちょっとテーマが重いから。

 

J: 僕は常にオープンであろうと心がけているから、このジャケットも気に入ったよ。なぜかと言うと、これは君のレコードだからだ。君がこの写真をジャケットにしたいと思うのならば、それが一番いいジャケットに決まってる。だけど正直に、僕もこのジャケットは好きだよ。いいと思う。僕だったら違うジャケットにしたかもしれないけど、それが個性を持つということの素晴らしさだ。僕には思いつかないようなことを思いついたり、同じものでも全く違う見方をしたりする人がいる。それがこの世界の面白いところじゃないか。

 

M: Joeの寛容性だね。”Lugar Precioso”って「美しい場所」っていう意味だから、僕はそれをちょっと皮肉ったつもりなんだよね。

 

J: いいと思うよ。僕は気に入ってる。

 

2007年東京渋谷にて

 

Lugar Precioso RMX

from Sacred Rhythm & Crosspoint

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