NO.156 J.A.K.A.M. & 森田潤 80 時間 2 万時超えインタビュー ~アルバム”COUNTERPOINT RMX”とその背景を巡って~ 第2話

Dec 25, 2017


J.A.K.A.M. was interviewed by Jun Morita for “COUNTERPOINT RMX”

The 2nd talk
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J.A.K.A.M. & 森田潤 80 時間 2 万時超えインタビュー ~アルバム”COUNTERPOINT RMX”とその背景を巡って~
第2話
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森田 : CD、配信、アナログ盤と精力的にリリースしているけど、各メディア事にこだわっている事は ありますか?
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J.A.K.A.M. : まず CD というフォーマットは今のところニーズは感じてますね。アナログだとフルジ ャケットがコストがかかり過ぎて出来ないところもあるので、逆に小さくはなるけど、アートワーク、 要はヴィジュアル・イメージみたいなもので想像力を相乗効果させれる数少ないメディアなのかもしれませんね。配信は特に海外の人達が買ってくれていま す。

アナログもほんとにコアなリスナーはどうにか手に入れられるだろうけど、基本こちらでプレスしたものは、送料が加味される事もあり、ヨーロッパの市場の平 均より、かなり高い値で取引せざるを得ないらしく、手に入れるのは困難な様です。YouTube やサウンドクラウドなんかは手っ取り早く聴いてもらう最初の手順という形はフォーマット化してきましたね。

そういう意味ではヴァイナルは本当にその音楽が好きな人達の特別なフォーマットという価値が高くなったのもあり、今まで以上にハイクオリティーな音質、音圧、音像を求められていると思うので、マスタリングなども特別にする必要を感じています。

今回の COUNTERPOINT RMX では昔 P-VINE からのリリースの時から(1999 年)お世話になって いる東京録音の塩田さんに頼みました。いわずもがな P-VINE はブルースや JAZZ を根底としたブラ ックミュージックの良さを普及させているレーベルですが、そこからの仕事も頼まれている人なので、 いわゆる NEW WAVE 的な音質感というよりは、ブラック・ミュージック的な気持ち良さを出してく れるスタジオ・エンジニアの方だと思います。相当な作品を一緒に作ってくれている大事な人です笑
いつもめんどくさい事ばかり注文して、時間も相当かけさせ、最近では作業終了後、築地や銀座に呑みに連れて行ってくれたり、音楽人としての兄貴分というか笑 高知の男は熱くて良いですね笑

CD というフォーマットはコアなリスナーというよりは、日常で個人でなりお店なりで BGM として かけてもらうイメージがあるので、ブっとんだ音像よりは聴きやすさ、聞き心地の良さみたいなもの が重要な気もします。そこらへん塩田さんはかなり感覚的に、気持ちいい、気持ち悪い、がはっきりしている人なのでバッチリだと思ってます。

今月にシングル・ヴァイナル “J.A.K.A.M. / COUNTERPOINT RMX EP.1” (http://www.nxs.jp/label_content/koko-0046.html) もリリースされましたが、その音に関しては大阪 の奇才KABAMIX氏に頼んでいます。ALTZ君や細野さんの仕事等アンダーグラウンドでも支持され ながら、とにかくコアな音キチに支持されている人で、フロアを分かってると言うか、アノ感じを分かってると言うか笑 良い意味でエグみもあって、コア向きな気がします。

今回のプレスはフランスの会社 WOLF PACK というところの経由でチェコプレスでやりましたが、 これがまた素晴らしい音でした。しかも納期が約1ヶ月というところがまた魅力でした。スピードが 早くなっている時代だと思うので、ヴァイナルもいいタイミングでリリースしていきたいという気持ちは強いですね。

ちなみに第 2 弾の RMX EP.2 が HOLE AND HOLLAND というレーベルから出ますが、そちらも KABAMIX 氏です。そちらも楽しみです。
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森田 : メディアと言えば、 2011 年に DVD 作品 JUZU presents Movements “Beyond”(http://www.nxs.jp/label_content/koko-0018_PCTN-0016.html)も出してます。映像でイスラムにも触れていますね。
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J.A.K.A.M. : 2011 年 2 月、3/11 から 1 ヶ月前に初めてのセネガル、トルコに上陸したのですが、その きっかけを作ってくれたラティール・シー(http://arban-mag.com/artist_detail/377) の存在はとても重要です。その DVD にはインタビュー等でも出演してくれています。そのセネガルに行く上でのトランジットでイスタンブールに寄ることになり、それをサラーム海上さんに話した ら BABA ZULA の前座 DJ をや ってみないかと誘われ、クアトロみたいな箱 BABYLON でまわしました。その流れからその後 CROSSPOINT からもリリースする YAKAZA ENSEMBLE(http://nxs.jp/label_content/koko- 0023_PCTN-0018.html)と出会います。

この関係性がその後のリリースや僕個人の世界感にも影響を及ぼしました。具体的にはセネガル上陸 後割とすぐにムハンマド(イスラム創始者)の誕生日が満月の夜、ゴレ島というラティールが育った 車が1台も無い,昔の竹富島の様なところで儀式と言うか、祭と言うか、もちろんイスラムなので酒 ノリでは全く無く、太鼓と歌だけで本当にエクスタシーを感じる様な空間と言うか、結構響きまし たね。

それ以前にモロッコやインドネシア等は行っていたり、イスラムカルチャーに触れるのは初めてでは ありませんでしたが、アフリカン・ムスリムの気持ち良さと言うか、またアラブ圏とは別物に進化し たものなんだと今は思います。

当時は初めての情報が多過ぎて、理解も出来ず、ひとまず帰国したら2-3日後に 3/11 の大地震で、 混乱の中、ゆっくりとイスラムを勉強していきました。

勉強していく上での、重要なキーパーソンは、 やはり及川景子(https://manipadme.jimdo.com/) というアラブヴァイオリニストで、彼女の知識やセ ンスを抜いては COUNTERPOINTという作品の深みは違うものになっていたと思います。アラブ音楽講座という会を何回か一緒にやりましたが、毎回相当濃くて、相当 肥やしになりましたし、イスラムだけに限らず精神世界と音楽の関わりと言うか、井筒俊彦さんやシュタイナーの世界感と言うか。
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森田 : COUNTERPOINTにはSUFI と言う曲も入っているけど、これはどんなイメージを目指したの?
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J.A.K.A.M. : スーフィーは、仏教的には禅とか密教とかに近い、インナーワールドというか。。
イスラムでは宗教と政治は分離してはいけないもので、生きる上で法と教えに沿って生きるという ことだと思うのですが、スーフィーの人達は調べていくと、割とそこにアウトサイダーなスタンスというか、具体的には政治や権力闘争に積極的に関わりたく無 い人達というか、自分と神とのサシの世界と言うか、そういう生き方なイメージはあります。

スーフィーと言えばルーミーだと思うのですが、やはり彼らは音楽というものを大変重視しているところが、また多数派のムスリムとは違うイメージがありますね。

僕個人も政治に関心はある方だと思うので、政治と宗教を分離しないという考えも賛同するのですが、 やはり音楽があまりにも自分のなかで重要だからか、政治と芸術だったらどこに人生を捧げたいか、 と言ったら後者になりますし、アフリカやパキスタン、インド、インドネシアにも存在するスーフィズムに俄然関心と共感を持ちます。

だけど、その内的世界に関心を持つという考え方は、ある意味コアなイスラムの考え方でもあると思いますし、ムハンマド自体がスーフィーだったとも考えられていますよね。だからスーフィーというのはコアでありアウトなものである、と言えるのかもしれませんね。
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森田 : クラブってスーフィズム実践の場に成り得る?
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J.A.K.A.M. : DJ 文化は時間芸術として、ストーリーを作り、想像力をかき立て、人の精神を変化させれる要素が高い現場だとは思います。例えばバンドだと、あくまでそのメン バー達の個性や演奏が主な 鑑賞材料になりますが、DJ 文化はある意味、僕が世界で観た何個かの儀式、例えばジャマイカのラス タの集会でのナイヤビンギ、キューバでのサンテリアなどと近い、ゆっくりと時間をかけて、トランス、エクスタシーに導くというところが近いと思います。

10 分ー20 分じゃ出来ないというところも似てますね。ショウじゃないので。
ナイヤビンギもある意味ミニマルな世界を1日中やるわけだし、ある意味テクノ的でもあるかもしれない笑
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森田 : サイケデリックとスーフィはまたちょっと違うみたいな事も言ってたよね。
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J.A.K.A.M. : やはりインナーワールド(精神世界)に入っていて、彷徨うのがサイケデリックで、その先に光明を見いだすのがスピリチュアルだと思うのですが、その行き着 く先をスーフィーというかイスラムでは明示していると思うので、そこの違いかなとも思います。

ただゴスペルやネイティヴアメリカンの儀式など、あらゆる世界にある、文化として到達したシャーマニズムには、ある程度その領域にそれぞれが達していた のでは?と思うところもありますが、イスラムはそれを政治化、組織化して効率的な繁栄を明示してくれたところが希有だと思います。

しかもあらゆる人種、国を超えてやれるフォーマットを提示したので、それが現在地球上の1/3がムスリムになっているゆえんだと思います。
だからアフリカやパキスタン、インドの独自の発展が音楽的にも、もの凄く豊かですよね。勝手に解釈も出来る部分もあると思うので。
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森田 : アフリカン・ムスリムとアラブとの違いについてもう少し教えて。
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J.A.K.A.M. : 先述したラティールはバイファルというセネガル独自のイスラム体系で、その世界感は (本人もそう言っているので) スーフィズムだと思います。現在のアフリカではおそらくキリスト教よりもイスラム教の方がメジャーになっていますし、その歴史は日本で言う平安時代から、 発展して いるので、日本における仏教の関わりと近いと言うか、最近の話ではなく、土着文化から1200年前には根付いたものなんだと思います。だから日本の仏教も そうである様に、独自なものになっ ていると思います。

もちろん起源としてはサウジアラビアにあるメッカという場所が起源ですが、現在の日本の坊さんで インドのサールナートに行った人がほとんどいない様に、既に独自の発展をしているものだと思います。僕個人は極東産まれなのもあり、極西にあるセネガルの 宗教観に逆に強いシンパシーを持ちま す。メッカという首都中心主義ではなく、何処にでも神は、霊感は存在すると言うか、
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森田 : 宗教観が作品を作る上でも重要なファクターになりうる?
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J.A.K.A.M. : 全体を通して、ミュージシャンというか音楽の内面、もっと言えば聴覚からの精神作用 を意識、認識している人達は、どこかみんなスーフィー的だとも言えると思うんです。

COUNTERPOINT に参加してくれたミュージシャンは全員はムスリムでもありませんし(だが過半数はムスリムだと思われる)、イスラムをテーマに作った訳ではありませんが、 それぞれの中の内なる 世界に対峙してきたミュージシャンは、ある意味イスラムにもシンパシーを感じてる人が多かった気がします。
NEW DAY で参加してくれている、沖縄の RITTO からも、沖縄独自の宗教観がすごく精神的なのもあり、スーフィー的なセンスも感じます。
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森田 : 和楽器を使ったりとかしてるけど、現地のスタイルの摸倣を目指してる訳では無いんだよね?
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J.A.K.A.M. : そうですね。真似しても意味は無いと思ってるので、アイディアやセンスはもらいつつ、
自分等ならではな世界感は提示したいと思ってます。今回も三味線やお箏の響きからスーフィー的なインナーワールドは感じれると思いますし、実際通じているのだと思います。

今回のリミックス作品の意味としても、リミキサー達が持つその独自の世界感と、そういう古(いにしえ)の精神世界が現代のサウンドシステムを通して、身体 に鳴り響くヴィジョンを持っていました。 宗教的というよりもサブリミナルな神秘体験をしてもらいたいというか。一瞬でもそれは効果がある と思うんです。古代と現代を繋げると言うか。

またその流れで、いまメディアでは敵視されているイスラムや宗教に対して、ニヒリズムではなく、 古代からの教えとしてポジティブな考えを持つ人が増えてくれたら本当に幸いだと思います。ムスリムになるとか、そういう事ではなく、ここまで広がった世界 感に、知識ではなく、心で感じると言う か、音楽ならではな事なんだと思います。

PART2STYLE の SUFI RMX なんかは Mal と昔流行ったジャマイカンリディムであるディワリの話 をしたりした後、彼なりな現場感と融合させてくれたのでアガりましたね。
アフガンルヴァーブとい うシタールの2個前の楽器(イラン、パキスタン、アフガニスタンなどで広く使われた)、およそ1400年前の楽器がダンスホールと結びつくなんて、ドラマ だと思うんです。それをまたユダヤ人のACID ARAB がフランスでかけてくれたり、時空を超えていく音楽というか。そこが DJ 文化の面白さだと思うんです。
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続く

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