NO.242 『ASTRAL DUB WORX』インタビュー1

Mar 28, 2020

J.A.K.A.M.『ASTRAL DUB WORX』

去年、四半世紀ぶりにMOOCHY(JUZU aka MOOCHY)と偶然の再会を果たせた。バンドEVIL POWERS MEを解散させたのち、DJ/トラックメイカーとして世界中を旅していることは知っていた。当時の〝仲間″ならパーティやそれこそNXSのライヴで顔を合わせることもあったのに、なぜかMOOCHYには遭遇しなかった。月日が流れ2015年1月から9か月連続リリースされた『COUNTERPOINT』シリーズでは〝100%ピュアでロウな怒りの音楽″と紹介されたころと変わらない、感情の音楽を凝った仕掛けで楽しみながら聴くことができた。この2月にリリースした『ASTRAL DUB WORX』はどんなアルバムだろう。

ドープなダブ?レベルなダンス・ミュージック?それともエスニシティを超越したグローカル・ビーツ?どれも正解だけれども……残念、少しだけ間違っている。

これは彼のパーソナルな〝旅″の記録。

あのころ増えていった刺青やボディピアスにバリ島旅行の土産話すら、この旅路のファースト・ステップだったはず。

年齢を重ね、膨大な数の音楽を聴き、多くの人々と出会い、経験値を積み上げながらクリエイションを続けることで自らを耕してきたJ.A.K.A.M.の証左を示した作品に他ならない。まずは前編、『ASTRAL DUB WORX』についてお届けします。

2020年2月12日 吉祥寺某所にて

――実はずっとMOOCHYが作る音楽は枠からはみ出るというか、ジャンルに収まらないと感じていたけど、『ASTRAL DUB
WORX』は逆に一番ダンス・ミュージックっぽくまとまった印象を受けました。

https://soundcloud.com/crosspoint-1

「20歳くらいからずっとそれをつくろうとはしてきていたけど、技術が伴っていなかったんだと思う」

――技術の問題なの?

「だと思う。あとひねくれてる、性格が(笑)」

――そっか(笑)。『COUNTERPOINT』ではMOOCHY君はこの後死ぬんじゃないかなってくらいのエナジーや感情を受け取ったけど、そういうものはもっと隠されている……というかこの『ASTRAL DUB WORX』では洗練されているね。とてもプロフェッショナルな作品でした。西洋音楽としてのグローバルなダンス・ミュージック、エスニック、特にアラブ音楽への傾倒、そしてMOOCHYの感情や内面の表現、3つの要素があると思う。今回はもう少し内面の表現がハッピーなものだったように感じました。

「建設的な感じ、ではあるかもしれない。『COUNTERPOINT』は私小説みたいな、曲ごとにストーリーがあったけど、今回のは日記に近い感じ。その時に出会った縁をメモしてる感じだから、俺の濃度が軽めなのかもしれない。だから言わんとしてることは、わかる。<LOVE FROM FAR EAST / EARTH DANCE>はCOUNTERPOINTシリーズの最終的な着地点だった。あれをつくっていた時は厄年中で。3か月くらい頭痛がおさまらなくて、ちょうど4枚目くらいの時には目がロンパってまったく動かなかった。本当に死を感じてた。最終的にカイロプラティックに通って、なんとか切り抜けたんだけど。ともかくそのタイミングでインドネシアにレコーディングに行くことが出来たのは良かった。インドネシアは自分の中で最初のワールドミュージックのインパクトだった。新しい音楽とトラディショナルな音楽を結びつけるっていうテーマは、21歳のころインドネシアに行った時に決まったから。DJでも民族音楽を混ぜるっていうスタイルはそこから作られて、今も続けていること」

J.A.K.A.M. / SHADOW DANCE
https://www.youtube.com/watch?v=Yfalgf4pVhM

LOVE FROM FAR EAST
https://www.youtube.com/watch?v=7HdGvyFBd5Y



――『ASTRAL DUB WORX』はすでにリリースした曲をダブ・ミックスしてまとめた作品ですね。

「そうだね。『COUNTERPOINT』より、もっとアジアのものを積極的にやる必要があるって考えた。俺はヒエラルキーを作りたくないから、本当はこういう言い方はしたくないけどアフリカの音楽の濃度が世界的にはかなり高い。もちろんその要素は俺の音楽にもある、だからこそモンゴロイド的な要素、モンゴロイドのグルーヴを取り入れなくちゃいけないと思ってはじめたのが〝ASIAN
DUB″」

https://soundcloud.com/crosspoint-1/counterpointxdigest

https://soundcloud.com/crosspoint-1/juzu-aka-moochy-counterpoint-y

――モンゴロイドのグルーヴって具体的にはどういうこと?

「ネイティヴ・アメリカンも含めた、モンゴロイドのグルーヴ。2010年末、ホピの精霊の儀式を縁あって現地アリゾナで体験したときに、精霊のダンスがモンゴロイドのものだなって感じられた」

――なるほど。どうしてDUBだったの?

「俺の音楽にはDUBの要素は常にあるかな。俺が一番音源を持っているアーティストはキング・タビーだし。膨大な量が出ているのもあるけど。今回はスタイルとしてではなく、今まで観ていた景色を破壊してもう一度再構築する発想、思想としてのDUB。これはタビーが最初だと思う。白人ならブライアン・ジョーンズ。中1の時『フルメタル・ジャケット』を観て<ペイント・イット・ブラック>を聴いて、俺の感情にすごくフィットしたんだけど、ローリング・ストーンズをそのあとベストアルバムで聞いたら、ダサくて(笑)。この曲だけ、なんでロウなんだろうって、ブライアン・ジョーンズとジャジュカにすぐたどり着いた。(ブライアンはこの曲でシタールを弾いている。)破壊って死を感じるくらいの恐怖を伴うはずで、恐怖は人間の闇のひとつ。表現者は恐怖を打破しないと良いものを作れないと思う。顔色うかがっている奴には面白いものはつくれない。キング・タビーもブライアン・ジョーンズもこれを壊したら呪われるんじゃないかって思っただろうし、結果タビーも殺されて、ブライアン・ジョーンズも怪死した。今回のアルバムは違う景色をみせるのがひとつのテーマ」

KING TUBBY’S SPECIAL 1973-1976
https://www.youtube.com/watch?v=otwkrRLRkXQ

The Rolling Stones – Paint It, Black
https://www.youtube.com/watch?v=O4irXQhgMqg

Brian Jones at Joujouka (art by William S. Burroughs)
https://www.youtube.com/watch?v=xsoT3TfyJhg

――違う景色ってどんなこと?

「俺20歳くらいのころに山口に呼ばれて、パーティが終わったあとに銭湯っていうか温泉なのかな、朝方に行ったら、おじいちゃんがいた。俺は刺青だらけなのに普通に話してくれて〝わたしは戦争に行って本当にいい体験が出来た″って言うんだよ。日本では食べられないようなおいしい果物や見たこともないようないろんな草花をみることが出来て本当にいい体験だったって。そのおじいさんから学んだのはどんなにひどい状況でも〝おいしい″とか〝きれいだ″とか感じることを失わないこと。どんな地獄絵図であっても花を探すっていうのはすごく大事だって。死肉が腐っていくようなものをおそらく見ていただろう人が美しいものを見出してきた精神がアートだって思った。ネガティヴな側面を理解しながらもポジティヴなものを探してたと思う。表現するときには嘘でもいいから〝いい要素がある″って言わなきゃいけない」

――その言葉からはMOOCHY君自身がブレイク・スルーした感じを受ける。大人になるってこと、なのかもしれないね。

「小さい子に〝世の中くそだからね″っていうのは大人げないことだし、〝君には可能性があるし、よりよい世界を作れるよ″って伝えたい。悲観するのは楽だし、簡単だから。キング・タビーに話を戻すけど、ボーカル抜いちゃったり、アブストラクトな音響感とか今までなかったバランスや過剰なエフェクトだとか〝えーそんなこと誰がいいと思うの?″ってみんな思っていたはず。だからジャマイカでは根付かなくて、いわゆるレゲエ好きとは別のところ、ヒップホップにかかわる人たちや、ヤン富田さん、マッシヴ・アタックとかがタビーの面白さに気が付いた。あのフィルターがブシャーってなる独特な感じってどうやったらなるんだろうって俺も昔からいろんなエンジニアに訊いてた」

――そんなに再現できないものだったんだ。

「内田君(内田直之/exDRY&HEAVYなど)が〝(機材を)手に入れた″って連絡があって。アメリカの放送局で使われていたEQで、がちゃがちゃ音がするような、周波数タイプを変えられるような機材。。その機材まではたどり着いたけど彼も使い方がわからなくて。内田君なりにいろいろ解読して、再現できた。手動でいじりながらスプリング・リバーヴとのセットでやるとあのブシャーって音ができるんだよって」

――カギはそのイコライザーなの?

「バンド・フィルターとスプリング・リバーヴの組み合わせってことなのかな<WABISABI DUB>のシュワーっとかブワーって感じがそれ。俺らにとってはキング・タビーの物まねをしたかったわけではないけど、仲間とやることに意味はあった」

――エフェクトを再現する取り組み自体も面白かったんでしょう?

「タビー先輩の音をどうやったら出せるんだろうって。少年っぽいでしょ。もしかしたらその機材は、ジャマイカやヨーロッパでは知られていないかもしれないし。異形のDUBって言葉もそうだけど、エフェクターを駆使して今までと違う景色を見せるっていうのは俺らなりのひとつの集大成でもある。DUBはもう今はあんまり重要なジャンルではないし、UKのDUBはそれなりには生き残ってるけど新しいものではない。それは俺も同意するけど、流行ってなくても自分の好きなもの、好きなことをただやりたいだけ。すごくインスパイアされたこととリスペクトしていることは変わらない」

――今回のアルバムはレベル・ミュージックとして聴かれないかもしれないけど、そこはどう思いますか?

「そうかもね。でも今回の楽曲の詩を読んでくれたらそこらのレベル・ミュージックよりレベルでしょ。深い悲しみ、植民地体制や消えゆく文化のことを歌っているってわかる。歌詞を書く人、ブルースをどう背負っているかってミュージシャンにとってすごく重要なことだと俺は思うし、クルドの土地でレコーディングしたときに感じたんだけど、虐げられた日常を音楽っていうアウトプットで本人も癒されている人の表現は胸を打つ。それは黒人音楽もそうだし、日本のパンクのいいバンドには在日の人が多いのとリンクする。音楽の深さが全然違う。これはいろんな国でレコーディングをしていて感じる」

クルド人
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%89%E4%BA%BA

――音楽に救われた経験は重要かもしれない。

「そういうエッセンスに共鳴するときはレベルとかそういうことじゃない。あと、自分の音楽をレベル・ミュージックだっていう言い方を俺はしない。当たり前すぎて(笑)。自分で踊ってヒールして暮らしていくにはもっと祭のようなものが必要だと思う」

――「WABISABI DUB」で〝重さ″や〝黒光りするような冷たさ″を感じて、これはMOOCHY君のシグネチャーだなって感じたの。何をやっていてもこの感覚がついてくるなって思った。

「すべての曲には失われゆくものに対する嘆きと怒りと悲しみがあるからなのかな。テキストにも書いてあるけど、ヌビアの村はもう、ない。ヌビアの人たちは朗らかにしていても、アイヌの二風谷なんかと一緒で聖地をつぶされたことを忘れていないことは彼らと接したらわかる。聖地をつぶすってローマ帝国からのやり口で、俺らも辺野古だったり観た景色がどんどん消されていく。これは無常って意味でWABISABI。ちなみに2012年くらいにトルコで新聞のインタビューを受けて、抽象的だけど質問がすげえおもしろくて〝宮崎駿とか黒澤明とか、なぜ日本の芸術は深いのか?″って質問されて。日本は戦国時代が長かったから、時代や政情によっていろんなものが消されていくことを知っている。だから諸行無常って意識が生まれて、WABISABIとかも含めてそういう感情、特に戦争による文化の喪失を一番深い悲しみとして描くって回答したんだ。原爆とか多くの題材になっている。服部さんが感じたように、このアルバムの曲は柔らかく聴こえても、芯にはそういうものがある。宮崎駿におけるナウシカ、恐怖感や切迫感。『COUNTERPOINT』はナウシカ的だったと思う。でもトトロだってほがらかにみえてもそのコアは変わらない。自分のやり口を変えつつ、テーマ自体を変えたつもりはない。レベル・ミュージックを標榜するつもりはないけれども、観てきたものはそういうもの。でも第三世界の人たち、抑圧された人たちには激しさや、カッティング・エッジなものを必要としていない。身体も含めもっと癒しが必要だと思っている。

――今回のアートワーク、ジャケットも盤面はどんな経緯で進めたの?

「ASTRALってワードは音をまとめてる時に降りてきた言葉で、手形はアルバム『MOVEMENTS』からの流れ。USUGROW君がアラビックっぽいフォントとかを、イメージは俺ら的な80’Sの感じで(笑)。高層ビルがあって、スケボーもいまだにやっててるけど、ストリートでも上を見上げると、星空がある感じ。そんなに星空は見えないけど都会でも見上げれば天体がある。そういう規模でとらえたら世界はまた違う見え方をするんじゃないかな」

USUGROW
https://www.instagram.com/usugrow/?hl=ja

<ジャケ写:ASTRAL DUB WORX>






――希望を見出しにくい感覚や空虚さなのかな、東京で生まれ育ったことって、良いことばかりじゃなくネガティヴなことも正直ついて回るし、そういう意味ですごくMOOCHY君らしいアートワークだと思う。

「USUGROW君は同じ年なのもあったり共有する感覚があって、音を聞いてこういう内ジャケットを作ってくれた。虚無な世界のなかでなにかを観ること。インナーに書かれている言葉、これは英語なんだけどOVER
THE SEA INTO THE BLOODって。ぶっ飛んだ話だけど海を越えて血のなかに入るってこと」

――音楽もアートワークもその言葉をよく表してると思う。それぞれのトラックについてもエピソードがあれば、教えてもらえますか?

「<FLOURLISH DUB>は韓国にいるアメリカ人のプロデューサーからDJで呼ばれて韓国に行ったんだけど、DJの後、韓国のトラディショナルなミュージシャンと韓国の楽器を録音したいって話したら、年配の人は日本人に対していい印象を持ってない場合が多いから難しいけど、自分が録ったものから使っていいよって言ってもらえた。社会の問題とカルチャーは密接だから思い通りにはできない事もあるけどなにかしら抜け道みたいなことはあるんだなって」

――音楽だけの話がすべてではないってこと?

「今回のアルバムでどこまでリスナーに伝わるかはわからないけれど。<GUIDANCE
DUB>はアフリカのジャーナリストがリビア空爆のタイミングで多くの主要なメディアでは語らないことを語っているサンプリングを採取してから、これを一曲目にせざるをえなくて。使いづらい曲ではあるんだけど、緊迫感だとか、謎な雰囲気だとかあの言葉は普遍的なもので、今日話しているようなこととリンクしてつむいでいるなって思えてる。<HANAUMUI DUB>はChurashima Navigatorという長年の友人達の曲をRMXしたものだけど、俺の辺野古に対する思いが入っている。<TRIBES DUB>って曲はフランスのレーベルからリリースしたんだけど、『COUNTERPOINT』以降のモンゴル度が高い曲。ホーミーが混ざっていたり、アジア人としての感情をアブストラクトにどうやってわかせるか、実験というか、トライしてる。リリースした時には〝よくわからない″って思われることがすごく多くて。時間が経つことで、自分にも、リスナーにも伝わってることもある。DJ KENSEIがプロデュースしてstillichimiyaがラップしているKhean Whistleのメッセージもそうだし、最後の<YOU
DUB>っていう曲では、今このアルバムを聴いているYouに、ZEKEさん、ブラックパンサーの人の言葉をリスナーに伝えなきゃっていうことだったり」

ブラックパンサー党
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC%E5%85%9A



――そっか、メッセージを預かってるんだ。

「言葉だけに限らずね。サンプリングも重要でウームクルスームというエジプトの大歌手の歌もアルジェリアの女流作家の人から名古屋のトリエンナーレでオファーをもらって、それで初めてウームクルスームを知って、いきなり任務が来た感じ。ちなみにLIFE FORCEってパーティを経由して日本のプロデューサーを探してて、俺が見つかったらしい」

ウームクルスーム アルアトラル
أم كلثوم – الأطلال – كاملة بجودة عالية
https://www.youtube.com/watch?v=PzsM0sjkOsE



――このアルバムはどんな人に届けたい?

「全方向だよ、もちろん。でも日本語もほとんどないし英語やアラビックがまじりあってるし受け手のことはあまり意識してないかも。つねにオープンではあるけど、どんな人に聴いてもらいたいとかもない。でもいろんな人がかけてくれたらいいな。好きな曲を仲間で聴いてくれたらそれでいいじゃん。誰これ?って、観たことのない景色と出会ってくれたら」

――単純に<WABISABI DUB>や<SPIRIT RISE DUB>がどんな映像で表現されるかもすごく楽しみ。

「<WABISABI DUB>はエジプトのヌビアの結婚式に参加した時の映像を使うつもり。<SPIRIT RISE DUB>はさっき話した元ブラックパンサーのZekeさんという73歳の人のポエトリーを軸にしたPVを作っている。自分でもDJではかけずらい曲だけどね(笑)」

J.A.K.A.M . WABISABI DUB
https://www.youtube.com/watch?v=bT2ynAFWLeY



――どちらもダンス・ミュージックとしては、たしかに問題作かもしれない。

「リリック含めてちょっと説教っぽい?言い方変だけど」

――快楽的な曲ではないって自分でもわかるでしょう(笑)。

「そうそう。Yeah!って盛り上がるものとは違う。快楽的なものに俺は飲まれないタイプだからなあ(笑)。音楽だとかイスラムだとか全般的なカルチャーが救いになる、誰かを救いたい、と大逸れて言いたいわけじゃないけど、実際都会に育った奴らは希望を見出すことが難しいとは思う。いいとこまでいってものまれちゃうやつも多いしね。差別とか暴力とかドラックとか。世界を肯定できなくなるんだろうな」

――今、MOOCHY君のDJって自分のトラックをメインにかけているの?

「いや、自分の曲も他人の曲もフラットに。1曲も決めないことは15歳の時に初めてDJしたときから自分に課してる。ちなみに最初のDJの1曲目はATTITUDE ADJUSTMENT(*)のアルバムからかけた(笑)。まずかけて、自分もフロアに暴れに行って戻ってきたら、もう2曲目になってて、、いろんな意味でやばいDJだった(笑)。自分が暴れたい、聴きたい曲をかけてるだけのDJ。ほかにはハウス・オブ・ペインとかもかけたな(笑)」

(*)ATTITUDE ADJUSTMENT:80sクロスオーバー・シーンを代表するバンド。ハードコア・パンクに絶妙なバランスでメタルふりかけがあしらわれたこのバンドをパスヘッドはクランチコアと名付けていた記憶もありますが、当時ですら定着していなかった記憶があります。

Attitude Adjustment (US) – American Paranoia (Full Length) 1986
https://www.youtube.com/watch?v=rVsUk_D_elc



――なるほど(笑)。MOOCHY君のDJは踊れるBPMを心がけるような、DJならではのマナーとかはあんまり感じられなかった記憶がある。

「今も変わらないね。でも、随分前にタロット占い師のマドモアゼル朱鷺ちゃんに〝あんたは堅物だからテキーラをショットで3杯くらいやってからまわさなきゃだめよ″って言われて、その掟を守ってつい飲みすぎるんだけど(笑)。去年の自分のDJ聴きなおしてて、ちょっと荒すぎるなって(笑)」

――反省したんだ(笑)。

「やっと(笑)。ともかくこのアルバムはひとつの集大成、このシリーズで完結させて次に向かいたいっていう意味で、ひとつの区切りだと思ってる。ぶっちゃけ自分のソロを、J.A.K.A.M.やJUZUの名前でアルバムを作るのはこれが最後かもしれない。違うプロジェクトは進めているし今度行くインドでもレコーディングはするけど。音楽に関しても常に手探りじゃなくちゃいやで。そういう意味で出し切ることでもっと謎な、違うところへ行く。自分のスタイルをプロテクトしない。機材とか技術に関してはある程度はレコーディング・ミックス・マスタリングができるようになったから、どんな人とでもやれる自信はあるし、自分の人生のコンセプトとして50までは爆音ミュージック、サウンド・システム・カルチャーをやり切ろうと思っている」

――まだあと5年、猶予があるけど、どんなことをするの?

「何も決めてない。まずは来たものとか、出会ったもの。最近だとヴァイキングっていうか(笑)、スウェーデン人と札幌のkuniyukiさんとの曲が今月またイスラエルのレーベルから出るのは決まってる。そのヴァイキングはマーカスってトランス界隈では超有名な人で、J.A.K.A.M.の音を聴いてくれてやりたいって声をかけてくれて。その彼に自分の周りのミュージシャンを紹介して、作業を進めてる。アルバムにしても5曲くらい、琴と三味線とアラブ・バイオリンでやるのは進めてる。今度のインドでどんな出会いが待っているかもわからないし。現場はやっぱすごく重要だしクラブとか盛り場にいるろくでもないやつらが俺は好きだから(笑)。そういう現場に貢献する音は作りたいな。でも今回のでひとつの区切り。ONENESS MEETINGについても区切るつもり」

Marcus Henriksson –
https://www.marcushenriksson.com/

Live at the Dome
最期にかける曲がJ.A.K.A.M. のIxtlan
https://www.youtube.com/watch?v=cXrcwnDtd84

Kuniyuki Boiler Room Mexico City Live Set

https://www.youtube.com/watch?v=pUEbnbbUsmQ

 Malka Tutiから先月リリースされた三人の共作

http://www.nxs.jp/jakam/MT0026.html

――それは15歳から続いた活動の区切り?

「いや、もっと短いタームの区切り。音楽に関しては今後も変わらず続けていくし。自分の中ではあるんだけどね。また違う世界観?手法?とにかく上を目指したい」

――何も決めてないってことは全部リセットしてみたいってこと?

「違うフェイズに入りたいなって感じかな。50過ぎたら全部自分で演奏するなり、もっとパーソナルなことをやってもいいのかなと思ってる。15歳で音楽しかないって思ったし、音楽っていうクモの糸で、俺は救われた。だからここまでは音楽に奉仕をするってことしか頭になかった。パーソナルなものより、いかに多角的に音楽をとらえて関与するか。いろんな人と出会うことで俺の音楽が周りや次世代の媒介になれたらいいと思ってた。アラブ音楽からハードコア・パンクのような現行の西欧中心の社会システムへのアンチを感じたし、実際に第三世界みたいなところに面白さを見つけて、いろんなところに行ってみた。その後個人的な話だけど離婚して子供と離れた後、2011年2月にセネガルで異端のイスラム・カルチャー、バイファルと出会って、ファー・イースト(極東)の人間が、ファー・ウエスト(極西)にシンパシーを感じることになった。そこでイスラム、宗教観、民族音楽への見え方聴こえ方が変わってきた。つまり世界に対する見え方が変わったんだ」

後編に続きます。(取材・文/服部 真由子)